音読の効果

人が生きていく上で、日本語(母国語)は、一番の基本です。コミュニケーションする時も、考える時も、感情を表す時も全てにおいて言葉が基本になります。それを言葉の根本から鍛えようというのが、声に出して体に言葉を入れるということ、つまりは音読するということになります。 音読をすると、脳の中の前頭前野が活性化されます。 前頭前野は、一時的な記憶とその処理、記憶の引出しをするところであり、人間の活動の基本を構成するものです。ですから前頭前野を鍛えるというのは、教育上も非常に意味のあることなのです。

以下に脳研究で有名な東北大学の川島隆太教授の研究の一部をご紹介します。

川島教授が進めている脳機能のイメージング研究は、 簡単にいえば、人間が様々な行動や思考をしているときに脳がどのように働いているかを、画像によって捉えて分析するという研究です。これは始まったばかりの最新の研究分野で、現在は FMRIという装置を用いて研究がおこなわれています。今までに行われてきた数百の脳機能のイメージング研究のデータから、脳の効率的な活性化方法が発見されています。

 

FMRIで調べた画像は、脳が活性化している場所に色をつけて示すことができます。その結果、一ケタの足し算 などの簡単な計算問題を解いているとき、そして本を音読しているときに、左右の前頭前野を含めた脳全体が活性化していることがわかりました。一方、一生懸命に何かを考えているときや、テレビゲームをしているときには、一般的に想像されるほど前頭前野は活性化していませんでした。さらに、すらすらと速く計算したり、音読したりする時に、脳がより活性化することもわかっています。これらの研究によって「計算や音読を毎日行うことで、左右脳の前頭前野が活性化し、それが効果的な刺激となって脳機能を向上させることができる」という結論が得られました。